Mar 3, 2021

伝えて広げる、 地域をワクワク動かす輪。

合同会社dano

伊藤 大貴(いとう・ひろたか) さん/難波 竜次(なんば・りゅうじ)さん

鶴岡市旧朝日村出身・在住 20代

▼高校卒業後の歩み

伊藤 大貴 さん

・1年目〜
バイオ分野を学びたいと考え、県内の大学の工学部に進学。さまざまな形で地域に触れ、地域活動サークル「Team道草」を設立・運営。

・5年目〜
就職を機に上京し、IT系のベンチャー企業でSEOアナリストとして働く。

・7年目〜
Uターンし、フリーランスとしてデジタルマーケティング事業を開始。

・8年目〜
合同会社dano立ち上げ。さまざまな事業に取り組む。

難波 竜次 さん

・1年目〜
電力会社に就職。配属地の米沢市で事務職として働く。

・7年目〜
失恋を機に、髪型をアフロに。

・5年目〜
酒田市のベンチャー企業に転職。営業をメインに、さまざまな業務に従事する。

・8年目〜
合同会社dano立ち上げ。さまざまな事業に取り組む。

− 2019年にお2人で立ち上げた、合同会社danoの事業について教えてください。
大貴 「10年後の、仲間をつくる。100年後へ、念いをつむぐ。」をビジョンに「ふるさとのココロを世界へつなぐ」ための事業を展開しています。具体的には、webサイトやSNSなど、web上での情報発信の戦略立案・改善を通じて企業や組織の課題解決を支援する「デジタルマーケティング支援事業」。記事や動画で、商品・サービス・政策などのプロモーションを支援する「コンテンツの企画・制作事業」。地域情報の発信や、情報発信に関するセミナーなどを通じて地域活性化を目指す「ふるさと発信事業」。この3つが、当社の事業になります。

− ふるさと発信事業はもちろんですが、他の事業についても地域と関わることが多いですか?
竜次
 庄内を含む県内企業・組織と関わることが多いです。事業を通じてふるさとの思いや取り組みを大切にしていきたいと思っているので。

− そのような気持ちは、いつ頃芽生えたものなんでしょう?
大貴
 小学生の頃、朝日村が鶴岡市に合併したことが「ふるさと」を意識する大きなきっかけになりました。その後、進学先の山形大学で経験した、県内各地でのフィールドワークや地元企業経営者との交流、東日本大震災の復興支援を通じて、ふるさとを大切にしたいという気持ちが一層強くなりました。
竜次 もともと僕も地元の朝日村が好きでしたが、大貴の話を聞くうちに、少しずつ関心が高まっていきました。ちなみに僕らは幼馴染ですが、まさか一緒に起業するとは思ってもいませんでした。
大貴 スポ少で一緒に野球はしていたけど、一番の友だちという感じでもなかったしね。

本気の大人たちと出会い、 踏み出した第一歩。

竜次 大貴が大学生の頃たまたま2人とも米沢市に住んでいて、スーパーでばったり会って以来よく遊ぶようになったんですが、一緒に参加した庄内での起業イベントが大きな転機になりました。
大貴 そこでの出会いが縁で、竜次は運営に携わっていた酒田のベンチャー企業に転職し、僕は大学院進学から東京のベンチャー企業への就職に方向転換をしました。

− 何か感じることがあったんですね。
竜次
 電力会社の仕事も充実していたんですが、おもしろいと感じたことに挑戦し続ける大人たちに出会って、自分もこうなりたいって思ったんですよね。
大貴 地域で新しい仕事をつくっている大人たちと話をして、地元の力になるためには、世の中の仕組みや仕事の成り立ちなど、知らなければいけないことがたくさんあると思ったんです。

− 進学から就職への切り替え、大変ではありませんでしたか?
大貴
 友だちに紹介された会社にピンときて、1週間くらいで内定をいただけました。決め手は「事業をつくるのが事業」という会社の方針と、「地元に仕事をつくるために5年でやめたい」と面接で伝えた際「それくらい成長してもらわないと、むしろ困る」と言われたことです。この会社なら早く力をつけられると思いました。

− どんな仕事をされていたんでしょう?
大貴
 メイン事業であるwebマーケティングの事業部で、SEOアナリストとして働いていました。お客さまのサービスや商品がより多くの人に届くように、特に検索で情報を探している人との接点づくりを支援するコンサルティングが仕事で、丸2年働きUターンを決めました。

− 何がきっかけだったんですか?
大貴 SEOアナリストとしてのスキルを身につけ、担当案件の数や規模も大きくなってきたタイミングだったんですが、これ以上東京で経験を積むよりも、地元にフィットする仕事をしていきたいと思って。東京と庄内とでは市場規模や地域と会社との関係が違い、戦略も必要なスキルも変わってくると気がついたんです。

− その頃難波さんは、酒田の会社で働いていたわけですよね。
竜次
 はい。「世界を変える。」というビジョンの会社で、営業、起業家を応援するための施設の立ち上げ、イベントMCなど、たくさんのことにチャレンジさせてもらいました。一番影響が大きかったのは、「これからの世の中で大事なものは何か」を教えてもらったことです。見慣れているはずの地元の風景がとても魅力的に見えてきて、大貴の影響で芽生えたふるさとへの関心に一気に火がつきましたね。

− YouTuberとしては、すでに活動されていたんですか?
竜次
 はい。社長に連れて行ってもらった会食で「YouTuberやってみたいんです」って話をしたら、他社の経営者の方から「すぐできるんだからやればいいじゃん。なんでやらないの?」みたいな感じで煽られて。見返してやろうと、1ヶ月間毎日ギャグをアップし続けることに挑戦しました。今思えば背中を押してくれたってことだし、結果として定期的に動画をアップする流れもつくれてアフロりゅうじの活動につなげられたので、すごい感謝しています。毎日ギャグを考えるのは地獄でしたけどね。

向き合い、一緒につくり上げる、danoらしい仕事を。

− 伊藤さんが戻られて、すぐにdanoを立ち上げたんですか?
大貴
 しばらくはフリーランスとして働いていました。ただ、会社組織の方が社会的な信頼も得られるし、受けられる仕事の幅も広がることに気がつき竜次に話をしたら、「俺も独立したいと思っていた」って言ってくれて。
竜次 一緒にやるなら大貴かなと思っていたので、じゃあ会社つくろうってことになったんです。

− 役割分担のようなものはあるんでしょうか?
竜次
 事業的な役割で言うと、大貴がデジタルマーケティング支援を、僕がコンテンツの企画・制作をメインで担当していて、ふるさと発信はそれぞれ得意な部分を担っているという感じです。
大貴 あとは、対外的な動きで言うと、竜次はとにかくいろんなところに顔を出してたくさん出会いをつくってくれる。子どもからお年寄りまで、幅広い人とつながってくれるのでありがたいです。
竜次 で、そのたくさんの出会いをうまくつないで深めたり、形にしてくれるのが大貴なんですよ。お互いのキャラを活かして、うまく補完し合えていると思います。

− 付き合いが長く、互いをよくわかっているからこそのバランスですね。逆に、仲がいいから難しい部分はありますか?
大貴
 プライベートでは昔からの友だちであり、仕事ではそれぞれ実務担当者であり、共同経営者であるわけで、この3つの役割の切り替えが難しいですね。友だちとしては「頑張ってるな」と思えることでも経営者としては「もっと上を目指せたらいいな」と思うこともあって、都度議論して落としどころを探るようにしています。

− 仕事をする上で、どんなことを大切にしていますか?
竜次
 自分がまず「楽しむ」こと、そして「楽しくする」ことですかね。相手のオーダーはもちろん大事にしますが、より自分も楽しむことを意識してます。当初の企画から変わって、さらにいいものが生まれるのは快感ですね!
大貴 期待に応えるのはもちろん、いかに想像を超えていけるかをいつも考えています。そのために一番大切なのは、クライアントと一緒につくり上げること。いいものをつくるために一緒に悩み、ときには本気でぶつかり合える関係づくりを心がけています。

情報発信を通じて、庄内を一緒に楽しむ。

− 今後、どんなことに力を入れていきたいと考えていますか?
大貴
 僕たちの企業理念の中にある「10年後の、仲間をつくる。」を、より具体的に進めていきたいです。「庄内いいよね」っていう思いに共感し、一緒に楽しみ、挑戦していく仲間を増やしていくイメージです。

− 庄内の魅力を発信していくことが中心になりますか?
大貴
 はい。それに加えて、情報流通に対する理解をもっと広めたいです。東京で情報発信やマーケティングに携わっていた経験から、普段目にする情報が行動や考え方に大きな影響を与えることを強く実感しています。情報がどこからどんな仕組みで自分の元に届いているのか知っておくことは、ふるさとを客観的に捉え、自分らしい生き方を選択する上でも大切なことだと思います。

− 都会の方が魅力的に感じる情報を見せられているということですか?
大貴
 web広告の仕組み上、現状は都会視点の情報が多いと思います。無料のSNSやアプリは企業広告で成り立っていることが多く、結果としてふるさとの情報に触れる機会が減ってしまう。それが原因で、ふるさと離れが加速するのは寂しいので、情報活用のリテラシーを広めつつ、web上で流通する山形や庄内の情報を増やしていきたいんです。
竜次 僕の役割は、YouTuberとしてこれまで以上にいろんなところに顔を出して出会いを増やし、地元をおもしろく伝え、ふるさとを一緒に楽しむ輪を広げていくことだと思っています。
大貴 鶴岡市長にばったりお会いして「アフロさん、こんにちは」って声かけてもらえたり、いろんな人とのつながりが生まれているよね。
竜次 突然小学生から「遊ぼうぜ」って電話かかってきたり、びっくりすることもあるけど、いろんな人とつながることはやっぱり楽しい。なので、どんどん出会いを増やしていきたいです。あとは、YouTuber仲間も増やしていきたくて、山形発の情報発信の拠点づくりを進めています! 先日ある仕事で、県内各市町村からゲストを招いて「100年後の山形」をテーマにネットラジオをやったんですが、コロナウイルスの影響でリモート接続だったにもかかわらず、情熱が肌で感じられるほどみなさん地域のことを考えていて。そんな方々と一緒に情報発信を通じて、「山形・庄内おもしろいね」って言われるような雰囲気をつくっていきたいんですよね。

− 高校生など、10代も仲間に入れますか?
竜次
 もちろんです。一緒に動画つくりたいとか、YouTuberになりたいとか、なんでもいいので気軽に声かけてほしいですね!
大貴 ぜひ!今もよく話す高校生がいて、彼らと企てる時間はとても楽しいです。情報発信や起業などの相談も歓迎ですし、世代を越えて一緒に挑戦していけたらいいなと思っています。

合同会社dano

アフロりゅうじオフィシャルサイト