未来のベンリを創造する、若き技術者
株式会社アサヒニイズマは鶴岡市の山間にある精密機器の部品を製造する企業。ここで佐藤尚貴さんは、車や電化製品などの部品の試作、製造に携わっています。
元々「ものづくり」に対する関心が特に強かったわけではありませんが、鶴岡工業高校の授業で工作機械を使い、図面通りにものが出来上がっていくことにこの上ない面白さを感じ、魅了されていきました。卒業生の進路は就職がほとんどですが、佐藤さんは、ものづくりについてもっと深く学びたいと考えるようになりました。そこで、設計やプログラミングなどを学ぶために県立産業技術短期大学校庄内校に進学を決意しました。
短大時代は製作にのめり込み、何度も試験・改善を繰り返し、夜遅くまで作業の毎日。よりよい物を作って結果を出したときの達成感がやりがいになり、工業系の大学や短大が集ってロボットの技術と精度を競う大会で東北エリアの準優勝に輝くなど、ものづくりの技術を確かなものにしていきました。
「卒業後、ほかの企業は眼中にありませんでした」。高校の頃から地元に残りたいという思いが強かったため生まれ育った鶴岡市の旧朝日地域でしかも自分の得意分野が生かせるアサヒニイズマはまさに理想の職場。仕事をする現在の日々は充実していると言います。「クライアントから高い精度を求められると燃えますね。0.01㎜以下の世界でものづくりをしています。難しいからこそ、いかに要求に近づけられるか、微妙な操作をどれだけスムーズに整えられるかと考える。それがとても楽しいんです」。
生まれ育った場所に世界水準の技術を持つ企業があり、世界中に普及していく製品の試作品に自分が携われることが誇りなのだそうです。 また、社内教育として、外部講師を招き、生産効率をどのようにあげられるかなどの勉強会も開催されています。 「まだまだ先輩たちの技術や能力、知恵には及びません。彼らの仕事を観察して、良い動きは真似したり、アレンジして取り入れています」。
プライベートの時間も大切にしています。「短大の研究室でバイクのエンジンを乗せた競技車両の制作、研究を行っているうちに、バイクにすっかりハマってしまいました。機械としての面白さももちろんですが仲間と過ごす楽しさや、旅の魅力に気づきました」。現在は1000ccのバイクを所有しており、休日には仲間と県内外へツーリングに出かけます。「都会に比べると刺激や派手さは少ないけれど、地元にも、世界に向けて活躍できる素晴らしい仕事があります。そして、バイクにまたがればすぐに最高の景色に出会えます」。冬はスキーに行くのが何よりも楽しみだそうで、オフの時間を全力で楽しむことで、仕事への意欲もよりいっそう強くなっていくのだそうです。