Sep 26, 2019

誰もがあたりまえに よさを語り合える庄内に。

ヤマガタデザイン株式会社

中條 大希(なかじょう・だいき)さん

酒田市出身/酒田市在住  30代

 

▼卒業後の歩み

・1年目〜

東京暮らしへの好奇心から、進学を機に上京。

・3年目〜

就職活動開始後すぐに内々定をもらいアルバイト開始。

・5年目〜

9月、入社半年で事業所立ち上げのため福岡へ。ひたすらに働く毎日でメンタル的にも成長。

・11年目〜

酒田市にUターン。ヤマガタデザインに入社し、さまざまな事業の立ち上げに中心メンバーとして携わる。

 

建築としても注目されている宿泊施設「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」や遊戯施設「KIDS DOME SORAI」、庄内に特化した移住や就転職の情報を発信する「ショウナイズカン」など、“山形庄内から、ときめこう。”のビジョンのもとさまざまな事業を手がけ、総合的なまちづくりに取り組むヤマガタデザイン株式会社。中條大希さんが入社したのは、創業から1年ほど経った2015年10月のことだ。以来、立ち上げ期の中心メンバーとして、ほぼすべての事業にゼロから携わってきた。1つの分野でも簡単ではない事業の立ち上げを、複数分野において成し遂げる。中條さんは、どのようにしてこのスキルを身につけたのだろうか。

答えは前職での経験にあった。「新卒で入社した会社もベンチャーで、当時は社員が5名しかいませんでした。マンションなどに給水設備工事を行い、維持管理をしていく事業だったんですが、入社半年で福岡事業所の立ち上げを任されたんです」。内々定が出た大学3年生の9月からアルバイトとして働いていたそうだが、そこから数えても入社3年目、まだまだ若手である。右も左もわからない土地で事務所を構え、人を雇い教育をし、戦略を立て仕事を獲得し事業を継続する。想像を絶する大変さであることは、言うまでもない。「大学は法学部で、経営について学んできたわけでもなかったんですが、とにかくやるしかないなと思って。事務所の一角に住み込んで四六時中働いていました。めっちゃくちゃ大変でしたけど、その分かなりのノウハウが蓄積されましたし、何よりメンタルが強くなりましたよね」。原点とも言える福岡での実績が評価され、その後も立ち上げを任された中條さん。全国を転々としながら8つの事業所を立ち上げ、退社する頃には100名以上の部下を率いるまでになっていた。

 

大切な人の変化でUターンを決意。

ハードな毎日を送りながらも、庄内には頻繁に帰ってきていた。気がかりなことがあったのだという。「母方の祖母が、祖父が亡くなり独りで暮らしていたんですが、家を継ぐ親族がいなくて。ずっと元気ではいたんですが、80歳を越えた頃に独りにしておくのが心配な状態になってしまったんです」。いずれは帰ってくるつもりでいた中條さんは、小さくなったおばあさんの姿を見てUターンを決意。その時点では、仕事の目処は立っていなかった。帰ってくるからには、地域に貢献できる仕事がいい。そう考えていたところに縁あって出会ったのが、ヤマガタデザインを創業して間もない代表の山中大介さんだった。「まだ戻って来る前で、東京で一緒に食事をしたんですが、すぐに意気投合しちゃって。その場で入社を決めましたね」。1年ほどかけて前職での残務を終えUターン、中條さんはヤマガタデザインの一員となった。

 

難題を越えた先のさらに大きな喜び。

現在中條さんは、鶴岡市の新事業である農業経営者育成学校「SEADS(シーズ)」の立ち上げに携わっている。2年間共同生活を送りながら、座学と実践を通じて主に有機農業を中心に農業経営について学ぶことができる学校なのだが、行政、農協、学術機関、民間企業と多様な組織が連携している、全国的にも例がない取り組みだという。葉物やミニトマトの生産に取り組む自社の農業事業の立ち上げもを経験したが、生産と人材育成という違いもあり一筋縄ではいかないそう。しかし、その大変さこそがおもしろさなのだと中條さんは言う。「考えに考えてやり抜いた先に、成長が待っているじゃないですか。前職でもそうでしたが、自分自身はもちろん、一緒に働く仲間の成長が見られるのが、とても嬉しいんですよね」。少し日に焼けた顔に笑みを浮かべ、中條さんは続ける。「あとは、今の仕事は頑張った分だけ、自分たちの暮らしに豊かさとして返ってくるので、そこはやりがいとしてとても大きいです。先日、地元企業のみなさんと東京に行き、庄内への移住・転職を考えている方向けのイベントを開いたんですが、参加企業の方から『チーム庄内感があっていいですね』と言っていただいて。ともに頑張り地域経済が活性化すれば、暮らしもよくなりますよね。より多くの方々が地元の豊かさを感じ、『庄内っていいね』って言い合えるようになる。そんな仕事を、どんどんしていきたいですね」。

力みとは違う、穏やかだが確かな力が込もった声で、中條さんは言った。

 

休日の過ごし方は?

息子と散歩

最近は、息子と近所を散歩するのが休日の楽しみです。植物や虫など、季節を感じられる発見がたくさんあっておもしろいんですよね。