「好き」を中心に、 混ざり合うオンとオフ。
株式会社ブルー
佐藤 百恵(さとう・ももえ)さん
岩手県八幡平市出身/酒田市在住 20代
▼高校卒業後の歩み
・1年目〜
東北公益文科大学進学を機に、酒田暮らしをスタート。
・5年目〜
酒田に残ることを選び、株式会社ブルーに就職。ただ1人の企画職として手探りで業務を行う日々。
・8年目〜
企画の仕事に加えて、オーダーメイド額の企画やギャラリー展示を任される。
住宅や店舗などの内装工事から、書道用品や額縁の販売、貸しギャラリーの運営まで、酒田市でさまざまな事業を展開する株式会社ブルー。佐藤百恵さんは、岩手県八幡平市出身の4年目社員。酒田に移り住んだそもそものきっかけは、大学進学だった。
「お世話になっていた先生から『もっと遊んだ方がいい。大学に行ったらいいんじゃないか』と言われ、公益大をすすめられたんです。もともと大学に進む気はなかったんですが、社会がよくなることを目指す公益学の考え方には共感するところがあったので、進学することにしました」。
地域と関わり合いながら、自分自身を表現する。
恩師の言葉に導かれ、酒田へ移り住み学生生活をスタートした百恵さんは、すぐにその言葉の意味に気がつくことになる。
「大学生になると、自由になる時間が一気に増えるじゃないですか。『もっと遊んだ方がいい』というのは、時間をかけていろんな体験をして、いろんな世界があることを知った方がいいということだったんだと気がつきました」。
この気づきで、百恵さんの活動は一気に加速する。高校時代から始めた音楽は演奏活動だけでなく、SAKATA MUSIC FESTIVALやSHOWNAIGHTの運営参加にまで発展。他にも、写真や絵、ダンス、ヘアモデルなど、さまざまな表現活動を展開していく。一方、大学での学びにおいても、フィールドワークなど地域に入っていく活動が多く、百恵さんは酒田のこと、庄内のことをどんどん吸収していった。
充実しているほど、時間が過ぎるのは早いもの。学生生活も終盤に入り、百恵さんは就職について考えることになる。「酒田に残るか、地元に帰るかで迷っていた」百恵さんは、入学後に開花したそのフットワークで、大学の社長インターンシップ制度を利用してブルーへと飛び込んだ。「1週間社長につきっきりで、たくさんの取引先の社長さんにお会いしたり、いろんな経験をさせてもらいました。その中でわかったのは、社長がプライベートをとても大切に考えているということ。私は『やりたい』と思ったことはやらずにはいられない性格で、就職したら表現活動は諦めないといけないのかと不安に思っていたんですが、この会社なら仕事も表現活動も全力で楽しめると思ったんです」。社長に直接交渉し面会すること3度、その年ブルーでは新卒の採用予定はなかったが、新たな部署が設置され企画職として入社することが決まった。
気づけば「好き」が仕事につながっていた。
見ず知らずの土地で、音楽を柱にさまざまな表現活動を展開し、働き先をも自ら切り拓いた百恵さん。自信を持って突き進んできたかに思えるが、実はそうではないという。「メインでやっている音楽にしてもそうですが、正直自分が特別うまいとは思っていなくて。でも、やっぱり表現することが好きで、もっともっとうまくなりたいから続けてきたし、そんな私の姿を見て、諦めずに表現活動を続けてくれる人が1人でも増えればいいなと思っています。庄内にも、働きながら表現活動を楽しんでいる大人たちがたくさんいます。高校生もまちに出て、いろんな大人たちと話をしてみると、地元の見え方が変わってくるんじゃないですかね」。
仕事と表現活動。百恵さんが同じように大切にしてきた2つのことが、最近リンクするようになってきたそうだ。「表現活動を通じて知り合った写真家の方が、当社のギャラリーで展示をしてくださったんです。事業の関係もあり書道の展示が多いギャラリーなんですが、その日は初めて訪れてくださる方がとても多くて。今年から任せてもらっている額縁の仕事は特に相性がよさそうですし、仕事と表現活動をつなぎ、どちらもより一層楽しんでいきたいですね」。そのつながりは、百恵さんの歩みにどのような変化をもたらすのだろうか。楽しみでならない。
庄内の魅力って?
人
旬の野菜を分けてくださる農家さんや、家に招いてくださる飲食店オーナーさんなど、家族のように接してくださる方が多いことですね。