Sep 26, 2019

都会を離れて気がついた 仕事の新たな楽しみ方。

株式会社庄交コーポレーション

青木 紘一(あおき・こういち)さん

鶴岡市出身/鶴岡市在住  30代

 

▼卒業後の歩み

・1年目〜

自動車業界で働くことを目指し、機械工学や流体力学を学ぶため東京の大学に進学。

・5年目〜

エンジンの研究開発職として、愛知県の自動車メーカーに入社。

・14年目〜

転職で、東京の自動車メーカーに入社。同じ自動車のエンジンでも、メーカーごとにさまざまな違いがあることに気がつき、ますますのめり込む。

・19年目〜

鶴岡市にUターンし、グランドハンドリングスタッフとしてのキャリアをスタート。

 

到着した飛行機を誘導し、空港ターミナルへと渡る搭乗橋を接続。荷物を降ろし、乗客よりも先に到着ロビーへと運び込み、次の出発に向けて、安全飛行のために計画された配置通りに荷物を積み込む。乗客が乗り込んだら、専用の車両に乗り込み飛行機の動き出しをサポートする。到着から次の出発まで、わずかな時間に多種多様な業務をこなし、安全で快適な航行を支えるのがグランドハンドリングスタッフの使命。「たくさんのお客さまの命を預かる、責任もやりがいも大きな仕事です」と話すのは、青木紘一さん。Uターンを機にこの仕事に就き、もうすぐ2年になる。

前職は自動車エンジンの研究開発者。「子どもの頃はミニ四駆ばっかりつくっていた」という根っからの車好きで、自動車に関わる仕事がしたいと考え東京の大学に進学した。「都会の暮らしに憧れがなかったわけではありませんが、将来の仕事第一で選んだ大学が都内にあった、という方が正確かもしれません。私は長男なので、当時から親の面倒を見るためにいずれは帰ってくるだろうと思っていて、そのときが来るまでは、県外に出てでもやりたいことを仕事にしたいと思ったんです」。4年間みっちりと機械工学や流体力学について学んだ青木さんは、念願の自動車メーカーにエンジニアとして入社。愛知県と東京都2つのメーカーで計15年エンジンと向き合う日々を過ごすことになる。

 

新しく夢中になれることを見つけてくれたのも、やっぱり車だった。

仲間とともに大好きな自動車について考え、手を動かし、喜び合える充実の毎日。ふとUターンのことが頭によぎったのは、開発に携わった自動車がリリースされひと段落したときのことだった。「両親ともに元気ではあったんですが、転職する上で年齢的にギリギリかなというのもあり、本格的に考え始めたんです」。

機械と向き合えるのであれば、新しい仕事にチャレンジしてみてもいいかもしれない。そう考えた青木さんのUターンは、物心がついた頃から大好きだった自動車を、改めて見つめ直すことからスタートした。「動物と違って、機械はこちらのインプットが正しければ、どんなに大きなものでもその通りに反応してくれます。前職でも、その素直さと動いたときの喜びがやりがいだったことに気がつき、そんな仕事がないかと求人情報を見ていたときに、今の仕事を見つけました。当時、庄交には『地域の交通系の会社』というイメージしかなかったので、ANAの仕事をしていることにも驚いた記憶がありますね」。

 

空の玄関口から広がる、地域とのつながり。

ずっと持ち続けてきた、好きという気持ちを見つめ直し出会ったグランドハンドリングの仕事。自ら操縦するわけではないが、自動車よりもはるかに大きな飛行機と向き合い、さまざまな機械を操り多くの人命を預かる。メカ好きとしてはもちろん、新しいスキルを1つずつ修得し成長できていることにもやりがいを感じているという。さらに、機械と向き合う喜びとは違う、新たなやりがいがあることに青木さんは気がついた。「業務の大部分は駐機場で行うのですが、飛行機に搭乗橋を接続する業務のときには、ドア付近に立ちお客さまにご挨拶をします。庄内に初めて来られる方にとっては、私が「庄内で出会う1人目」になるわけです。庄内の第一印象がよりよいものであれば、過ごす時間も楽しくなり、また訪れたいと思っていただけるはずだと考え、気持ちのいい応対を心がけています」。

そんな青木さんの想いを周りも感じ取っているのか、飛行機を通じた地域とのコミュニケーションも増えてきている。「地域のお祭りなんかで仕事の話になると、みなさん飛行機について興味津々で楽しんで話を聞いてくれますし、息子の保育園に行けば、飛行機好きの子たちに囲まれ、先生たちにも『今度飛行機で出かけるんだけど、見つけたら手を振るから』とか言ってもらったりして。都会に比べて人との距離が近いということもありますが、前職では仕事外の人と仕事の話をすることはほとんどありませんでした。やっぱり自分が一生懸命になっていることに興味を持ってもらえるのは、嬉しいですよね」。

今後は、自らのスキルの研鑽はもちろん、仲間を増やすためグランドハンドリングの魅力発信にも力を入れていきたいという青木さん。大きな機械を相手にしながら、地域の最初の「顔」としておもてなしをする。そんな仕事に少しでも興味があれば、いきいきと働く青木さんの姿を見に、庄内空港に出かけてみてほしい。

 

庄内の魅力って?

自然

キャンプやバックカントリースキーなど、アウトドアはUターン前から好きだったんですが、庄内はフィールドが近いのが最高。休日は子どもと一緒に楽しんでいます。