Dec 14, 2016

風土に合う建築で庄内を盛り上げたい

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小さいころから絵を描くのが好きだったという愛美さん。実家が2代続く建具屋さんだったこともあり、 得意の絵を活かして建築の仕事に就きたいと思ったのは小学6年生の頃でした。父の母校である鶴岡工業高校に入学し、その後、デザインや設計を学ぶため新潟の専門学校へ進学しました。

学生時代には、卒業後はしばらく新潟で働いて、そのうち地元に戻るのもいいかなと考えていました。けれど資格試験などの勉強で忙しい時に、ふと思い出すのは庄内のおいしい食べ物や家族の姿。自分が求めているものは故郷にあると気づいた愛美さんは、地元に戻ることを決意しました。

愛美さんが働いているブレンスタッフ株式会社は、主に学校や病院といった公共施設の建築設計や監理、施工事業などを行う総合設計事務所です。東京や仙台に拠点がありますが、愛美さんは余目駅前に事務所を 置くBIM推進部に所属しています。約30名のスタッフのうち半分以上が女性で、職場はいつも和やかな雰囲気です。「実は鶴岡工業高校のOB、 OGが多いので、先生や学生時代の話など共通の話題になることが多いです。先輩たちに囲まれながら、和気あいあいと働いています」。職場と自宅が近いことから、お昼ごはんを家に戻って食べることも。そんな職住近接な環境も、気楽で好きなのだそうです。

ブレンスタッフでは、設計情報を3次元でよりリアルに表現できる最先端のコンピュータソフト「BIM (ビム)」を導入しています。海外ではすでに普及しているBIMですが、国内ではまだ大手企業での利用が中心。そんな先進技術をここ庄内で導入している先駆的な企業です。

「BIMの操作はまだ手さぐり状態ですが、使いこなせるようになれば仕事の幅が広がるため、将来が楽しみです」と言います。

平成30年には愛美さんが設計から関わった鶴岡第三中学校の校舎が完成の予定です。

「学校へ何度も出向いて先生方の要望を調査したり、関係各所との話し合いを繰り返し行ったりと、多くの経験を得られました。完成したらきっと喜びもひとしおだと思います」と笑顔を浮かべます。

「地方は都会と違って少し不便だったり、物足りなさを感じるかもしれないけれど、だからこそ自分でいいものを作りだそうと思えます。ここにこんな建物があればいいなぁ、などと町を歩きながら考えるのはとても楽しいです。いつか、同級生や友人の住宅や、地元の人が集まる施設を設計できたらと思います。庄内の風土に合った建築を設計していきたいです」。

愛美さんの弟も、現在は鶴岡工業高校で建具屋さんを継ぐために勉強中。いつか、家族と一緒にひとつの建物を創り上げる日が訪れるかもしれません。