Dec 8, 2016

「ただいま!」の声が響く家のような学び舎づくり

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小学生から高校生を対象に、少人数の塾「コウル」を開いている鶴田淑子さん。現在の生徒は小学3年生から高校3年生までの15名。「親戚のお姉さんみたいな立ち位置ですかね。」淑子さんは小さいながら、のびのびとした学びの場を作り上げています。

はつらつとした印象の淑子さんですが、実は9歳と14歳の2度にわたって不登校を経験しています。中学3年生の夏休み明けには、気づかぬうちに信じていた仲間からいじめに遭っていました。「学校は好きで生徒会もやっていましたが、いじめのショックから学校に行けなくなってしまいました」。

そんな逆境にもめげず、高校卒業後は色々なことを網羅して学びたい!と進学を決意。社会学を専攻しました。「大学は女子大だったため、自分でできることは自分でやる、男女の性差を超えていける自立した人間性を育てるようなところでした」。

卒業後は憧れの美容師を目指していたものの、家庭の事情で酒田に戻りました。家庭教師を始めたのは24歳の時。最初は次の仕事までのつなぎのつもりでしたが、子どもたちと触れ合ううちに天職だと思うように。生徒の中には、鬱状態で終始泣いている子どももいました。

その状況を前に何もできない、もどかしい経験をしたことで、子どもの気持ちを細やかにケアできる学びの場を作りたいと30歳で独立しました。フィンランド語で「学校」の意味を持つ「コウル」では、大きな家族のような塾を目指しています。」ここでは勉強に入る前に、子どもの話に耳を傾けます。そうすると、あふれるように話をしてくれるんですよ。

家庭では、親御さんが子どもになかなか時間が取れない時もありますからね。私に話を聞いてもらい、すっきりした子どもたちは勉強にもスムーズに入ることができるんですよね」。思春期は特に心と身体のバランスを保つことが重要だと考え、2012年にはストレスケアカウンセラーの資格を取得しました。

生徒のほとんどは淑子さんの考えに共感する親御さんの口コミで集まってきています。「最近は自分で物事を決められない子どもが多い。うちでは、小っちゃいことでも自分で決めなさいと言っています。誰かにやらされてることは浸透しないから。

嬉しいことに、子どもの気持ちがわかる先生と言ってもらえています。私自身が子どもなんですけどね」。はにかんだ笑顔で淑子さんはそう話してくれました。「コウル」の仕事と平行して、夫の拓也さんのセレクトショップ「troa accessories」の経理や事務の仕事も手伝っています。

夫婦でお互いの仕事を支え合いながら、笑顔が途絶えることのない職場の雰囲気。その元気な笑顔の背景には、「ただいま!」と帰ってこられる、家のような学び舎づくりを目指す、鶴田さんの熱い思いがありました。

プロフィール

◆鶴田 淑子(Yoshiko Tsuruta)
1982年酒田市出身。酒田南高等学校卒業後、日本女子大学卒業。一時は美容師を目指すも、帰郷。家庭教師として会社に就職、独立後にKOULU(コウル)を設立。