Dec 14, 2016

私の仕事は、故郷への恩返し

igarashi_kiji_top

「うちの集落にある38軒ぜんぶが自分の家族みたいな感覚。だから大切にしたいんです」と語る五十嵐丈さんの出身は、旧温海町の関川地区。市街地から車で40分ほどの山間地にある集落で、人口は約140名ほど。伝統工芸「羽越しな布」の里としても知られています。

この地域で育ち、新潟大学の工学部へと進学した五十嵐さんに転機が訪れたのは大学1年の夏休み。「近所の方が2組ほど他所の地域へ引っ越して行くのを見て、自分は過疎の最先端にいるんだと実感しました」。

ただでさえ高齢化で1人、また1人と人口は減りつづけています。このままでは関川に人がいなくなってしまう。危機感を抱いた五十嵐さんは地域の魅力発信に関心を持ちました。大学4年生の時には「福栄地域協議会(福の里)地域活性化推進員」に応募し、合格。研究室の先生にお願 いし、平日は関川で地域振興に携わり、土日に大学で研究をこなす一年を過ごしました。また、大学の友人と「庄内から日本を元気にする会」を立ち上げ、新潟市内でいも煮会を開催するなどの活動も行いました。

銀行員という職業を選んだ理由について、五十嵐さんは「まず、どうしても地元に就職したかったんです。その上で、銀行が地域に密着した企業である点に魅力を感じました。地元企業とつながりを持てるし、地域に影響を与えるには最適だと思ったんです」。五十嵐さんのように地域活動に関わりたい人にとっては、土日に時間が取れるのも魅力のひとつだといいます。

とはいえ、銀行は地域経済を支える重要な仕事。学ぶべきことも多く、土日は勉強に追われています。「入社前から試験を1つ受け、入社後も銀行業務に必要な資格を1ヶ月に1つ のペースで取得しています。3年目までは取得しなければいけない資格がたくさんあり、大変なのですが、なるべく地元のイベントは手伝うようにしています」。休みの日は家の前の川に足を浸し涼みながら試験勉強。合間におばあちゃんと話すのが一番のリフレッシュだそうです。

「地元に帰ってくるだけで喜んでもらえる。ここは自分の存在を認めてくれる特別な地域です」。自分を育ててくれた地域への恩返しをしたいという想いが、五十嵐さんの仕事の原動力になっています。

「仕事では将来、地域のイベントへのお手伝いなどを担当している広報CSR室で、学校教育や文化活動へ寄付を行っている『ふるさと創造基金』を担当したいです。まちづくりを資金面でサポートしながら、田舎ならではの魅力を追求し、もっと人を呼び込んでいきたいですね」