Jan 8, 2016

庄内だからこそチャンスがたくさんある

人生も仕事も旅の連続、だから楽しい

_MG_7249 高校生も集い将来の夢をも相談してしまうほど居心地がよく、頼りがいのある存在、雑貨店「ANCHOR」を経営する阿部和幸さんが初めてお店を出したのは、高校を卒業して3か月後の事でした。

お母さんが婦人服販売をしていて、子供の頃からその姿を見て育ったという和幸さん。洋服に関する話題ばかりではなく、普段の何気ない会話をしながらお客様と溶け込む姿を見ながら、いつか自分もアパレルのお店をと夢見ていたそうです。

そして高校生の時から起業に向け必死にアルバイトをし資金を貯めていると、可愛がってもらっていた洋服店のオーナーに経営のノウハウやアドバイスを受けることが出来、18歳の若さでオーナーとして鶴岡に出店します。

その後お店は軌道にのり仙台市にも支店を出すまでに成長を遂げました。ところがある時、友人の酒井健太さんの熱心な音楽活動に惹かれ、自身も音楽にのめり込むように。そしてお店は社員へ譲り、和幸さんはギターと寝袋を持って日本各地に音楽活動の旅に出てしまいます。ヒッチハイクで日本各地を巡り、オリジナル曲で路上ライブ。

ミュージックバーをまわったり、日雇いのアルバイトで稼ぐ日々。「節約のために携帯電話も持たず、今自分がどこにいるのかも分からなかった。旅先でいろんな人に書いてもらったコメントのノートは宝物です。都会の人間は冷たいと言われますが、そんなことはなくって、みんな本当にやさしかった。だから今度は自分が誰かに良くしてあげたいな、と思ったんです」。その後生活の苦しさと、音楽で食べていく厳しい現実に直面。再びお店を経営したいと資金集めを始めるのです。

地元だからこそチャンスがある
そう信じて

高校生の頃から様々なアルバイトをこなし資金集めをしていたという和幸さん。今後の経験として活かせる仕事をしようと、チケット販売の営業や、靴屋さん、かばん屋さんで働きます。

ところがかばん屋さんで連れて行ってもらった展示会で楽しそうに働くバイヤーに惹かれ、今度はバイヤーを目指すことを決意。当時常連になっていた古着屋さんに相談すると、バイヤーという仕事は特殊で、卸してもらえる店に営業しなければいけないこと、商材やセールスポイントがなければだめだということ、さらに自分が本気で好きなものでなければ売れないということを教えてもらいます。

自分が好きな物は何か、改めて向き合い心に響いたのがアンティークやビンテージのグラス、昔から家にあった小物など、アメリカン雑貨でした。そこから古着屋さんに海外への買い付けに連れて行ってもらい、商品収集。仙台市内に事務所を構え、フリーのバイヤーへと転身したのです。しかし2011年3月11日、日本を東日本大震災が襲います。和幸さんが借りていた多賀城の倉庫は津波で流され、それまで大切に集めていた商品は全て失われてしまいました。

地元に戻るも、放心状態の和幸さん。昔、音楽の道に引き込んだ酒井健太さんが酒田でライブハウスを経営しながら、積極的に音楽活動をしている姿を見て、再び転機が訪れます。「地元で仕事するって、それまで考えたことなかったんですが、ここだからこそできる生き方があるんだって気づいたんです」。

そして鶴岡でアメリカン雑貨のお店を経営したいと意欲をわかせますが、家族や周囲から反対されることに。地元にないからこそ起業するチャンスがあると信じる和幸さんの熱意に地元金融機関が応え、開店資金の融資を受けることができました。2011年12月、ついにU.S.A  ZACCA ANCHORがオープンします。

大好きな品々と
お客様と出会う店から

_MG_7321 和幸さんのお店は「実際商品を手に取って、見て、納得して、そしてお店の雰囲気を感じて欲しい」と通信販売はせず、ツイッターと口コミのみ。それでもお客様はANCHORを目指し、日本各地から訪れるようになりました。

「来たら買わなければいけないということはありません。友達の家に遊びに行くような感覚で、毎日でも遊びに来てほしいです。私が本当に好きなキャラクターやアイテムに共感して来てくれるのがうれしいですね」。また、様々な地域で懸命に生きてきた和幸さんが見る庄内は、可能性があふれているそうです。「チャンスは都会にしかないという先入観を持つ人もいるかもしれませんが、場所は関係ありません。都会には星の数ほどのライバルも。地元は仕事、スポーツ、観光、まだやっていないことがたくさんあって、ないことを探す方が簡単。

ないからこそチャンスがあるんです。そういう意味で庄内は、いろんな可能性を秘めていますよ。都会とか地方とか関係なく、本当に好きなことを実現するためにコンセプトを磨けば、最初は少人数でも共感をもつ人が来てくれて、必ず共感の輪が広がっていくはずですよ」。マイナスをプラスに転換し、新たな展開に結びつける和幸さん。そんな和幸さんは、ANCHORを訪れる若者に伝えているメッセージがあります。「失敗の数が多いほど人間は成長できます。怖がらずにたくさん経験してみてください」。

スケジュール

営業時間 12:00~19:00
不定休

オー、マイショウナイ!

気の置けない友人

酒田HOPE店長 酒井健太さん(左)(有)米シスト庄内の佐藤優人さん(右)
和幸さんを音楽の道に導いた酒井さんと3人で、庄内をもっと面白くしたいと、いろいろ企画をしている。

プロフィール

◆阿部和幸 (Kazuyuki Abe)
『アメリカン雑貨 ANCHOR』オーナー。1981年生まれ、庄内町出身。鶴商学園高等学校(現・鶴岡東高等学校)卒業後、アパレルショップを経営、フリーバイヤーを経て、ANCHORをオープン。
https://twitter.com/00anchor00
https://instagram.com/ooanchoroo/